東京地方裁判所 昭和37年(レ)698号 判決
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〔判決理由〕そこで進んで買取請求当時の本件建物の時価について判断するに、当審における鑑定人石川市太郎の鑑定の結果(但し後記採用しない部分を除く)によりこれを金五七万四、六〇〇円と認める。すなわち鑑定人は建物自体の価格を金五七万四、六〇〇円、場所的環境利益金二〇〇万円と評価し、両者の合算額を以て本件建物の時価であるとする。建物の時価を算定するに場所的環境利益を参酌すること自体は正当である。しかし土地賃借権の不存在を前提とする買取請求の場合、場所的環境利益は賃借権の価格を基準として評価することはできず(鑑定人の右評価はこの点において採用しない)、場所的環境利益を参酌するとは、建物の建築費、その新旧、汚損の程度により決せられる建物の抽象的価格をその現に存する場所的環境的利害得失に起因すべき重要の大小により修正して、具体的な建物の時価を決定することを意味するに他ならない。右の意味における場所的環境利益の参酌は、鑑定人が本件建物自体の価格を評価するに当り既に行つているものであることは、鑑定理由により明かであるから、当裁判所は鑑定人の言う建物自体の価格を以て場所的環境利益を参酌して決せられた建物の時価として採用すべきものと考える。(吉岡進 荒木大任 龍岡稔)